令和6年社労士試験合格基準点(科目別及び総得点)予想

選択式合格基準点予想
まずは、選択式試験の合格基準点を予想します。
選択式科目基準点補正(救済)予想
今回、科目基準点の補正の可能性があるのは「雇用保険法」です。しかし私は、雇用保険法が本試験で補正されることはないと予想します。
補正されない理由について、以下に考察していきます。
平均点からの考察
TAC社会保険労務士講座が公開した分析資料によると、データリサーチに登録した受験生の「雇用保険法」平均点は2.9点となっています。
選択式試験の科目別合格基準点の補正が厳格化された平成27年(2015年)以降、データリサーチで平均点が2.5点~2.9点だったのは8科目です(下の表を参照)。
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8科目中、補正されなかったのは4科目となっています。
補正されなかった4科目は、受験生全体(本試験)の平均点が2.2点以上であり、補正された4科目の平均点は1.8点~2.1点です。
今回の本試験で、全受験生の平均点が2.1点以下であれば、雇用保険法は補正される可能性があるでしょう。
ただし、今回出題された空欄A・B・Cは、比較的基礎知識を問う問題であり、学習経験の浅い方でも2点以上は得点できると考えます。
そのため、全受験生のうち1点以下を占める割合が「30%以上」となる可能性は低く、基準点の引き下げは「なし」と予想します。
得点分布からの考察
下の表は、データリサーチ登録者の「雇用保険法」得点分布です。
得点 | 割合 |
0点 | 0.4% |
1点 | 4.4% |
2点 | 20.6% |
3点 | 57.3% |
4点 | 15.8% |
5点 | 1.5% |
また下の表は、先ほどもご紹介した、平成27年(2015年)以降データリサーチの平均点が2.5点~2.9点の科目です。
データリサーチ1点以下の割合が1桁台でありながら、本試験で補正されたのは平成29年(2017年)の健康保険法(9.3%)だけです。
そこで平成29年(2017年)の健康保険法と、今年の雇用保険法を比較してみます。
科目 | TAC1点以下 | TAC2点以下 |
平成29年健保 | 9.3% | 46.9% |
令和5年雇用 | 4.8% | 25.4% |
今年の雇用保険法は、平成29年(2017年)健康保険法の得点分布と比較すると、1点の割合では「4.5%」下回っており、2点では「21.5%」も下回っています。
この比較から考察すると、雇用保険法の基準点が2点に補正される可能性は極めて低いと言わざるを得ません。
選択式の合格基準点(総得点)予想
データリサーチでは、選択式平均点が30.7点となっており、前年の30.3点から0.4点上昇しています。
今回の本試験では、科目基準点の補正はないと考えていますので、総得点の予想に際し、本試験で科目補正がなかった平成19年試験及び令和4年試験を参考にします。
尚、平成13年試験も科目補正はありませんでしたが、その年のデータリサーチ平均点が不明のため、参考にはしません。
科目補正がなかった年の本試験平均点とデータリサーチ平均点は、下の表のように乖離しています。
試験年 | 本試験平均点 | データリサーチ平均点 | データリサーチとの乖離 |
平成13(2000)年 | 25.9点 | 不明 | 不明 |
平成19(2007)年 | 25.3点 | 32.9点 | -7.6点 |
令和4(2022)年 | 24.6点 | 30.3点 | -5.7点 |
平均 | 25.3点 | 31.6点 | -6.7点 |
科目補正がなかった本試験のうち、平成19年試験と令和4年試験のデータリサーチとの乖離を平均すると「-6.7点」となります。
平成13年試験の乖離が不明なため、乖離が確認できる平均の「-6.7点」をベースにして、総得点の合格基準点(予想)を求めると、以下の点数になります。
30.7点(令和5年データリサーチ平均点)-6.7(科目補正がなかった年のデータリサーチとの乖離平均)-24.6(前年度の本試験選択式平均点)=-0.6点
前年度の合格基準点(27点)に上記で求めた-0.6点を四捨五入した数字(-1点)を差し引くと26点となるので、選択式合格基準点(総得点)は26点と予想します。
択一式合格基準点予想
つづいて、択一式試験の合格基準点を予想します。
択一式科目基準点補正(救済)予想
下の表は、データリサーチの記録が残っている平成19年(2007年)以降、択一式で合格基準点が補正された科目とその時の平均点(全体&「TAC」データリサーチ)です。
試験年度 | 補正科目 | 全体平均 | TAC平均 | 全体とTACの平均点差 |
平成26年 | 常識 | 3.5点 | 4.9点 | -1.4点 |
平成28年 | 常識 | 3.5点 | 5.4点 | -1.9点 |
平成28年 | 厚年 | 3.8点 | 5.8点 | -2.0点 |
平成28年 | 国年 | 3.4点 | 4.8点 | -1.4点 |
平成29年 | 厚年 | 3.7点 | 6.1点 | -2.4点 |
平均 | 3.6点 | 5.4点 | -1.8点 |
今回の試験では、基安がデータリサーチの平均で6点未満となっています。(下の表を参照)
科目 | 平均 |
労基・安衛 | 5.8点 |
ところが、平成19年以降のデータリサーチで平均6点未満であっても、基準点が「補正されなかった科目」は27科目にものぼり、逆に平均6点未満で「補正された科目」は4科目しかありません。
データリサーチで6点未満だった科目が、合格基準点が3点に補正される確率はわずか14.8%です。
このようなデータから推測すると、今回の試験で基安の基準点が補正されることは厳しいでしょう。
択一式の合格基準点(総得点)予想
データリサーチの択一式平均点は「44.9点」となっており、前年の42.8点から「2.1点」上昇しています。
上昇しているとはいっても、今回の択一式は事例問題が6問、個数問題が4問、組合せ問題が5問も出題されており、決して難易度が低い訳ではありません。
そのため、データリサーチ登録者の平均点と、受験生全体の平均点には大きな乖離があると考えます。
下の表は、試験が難化した平成27年以降のデータリサーチと本試験の平均点を比較したものですが、表中期間における「TACと本試験の乖離」は-10.1~-12.4点となっています。
今年の本試験の難易度を考慮し、表中期間で最も乖離が大きい「-12.4点」をベースに合格基準点を求めると以下の点数となります。
44.9点(令和5年データリサーチ平均点)-12.4(表中の最も大きい乖離)-30.9(前年度の本試験択一式平均点)=1.6点
前年度の合格基準点(44点)に上記で求めた1.6点を四捨五入した数字(2点)を加えると46点となるので、択一式合格基準点(総得点)は46点と予想します。
令和6年社労士試験合格基準点予想
令和6年社労士試験の合格基準点は以下のように予想します。
選択式補正科目 | なし |
選択式合格基準点(総得点) | 26点 |
択一式補正科目 | なし |
択一式合格基準点(総得点) | 46点 |