「定年後も働きたいけれど、どんな仕事があるだろう?」
「長年培った経験を活かせる新たな職業はないだろうか?」
「60歳を過ぎても挑戦できる専門職はあるのだろうか?」
こんな疑問をお持ちではありませんか?
人生100年時代と言われる今日、定年後も20年、30年と元気に活躍できる時代になりました。しかし、多くの方が定年後のキャリアに不安を感じています。特に、「年齢を理由に採用されないのではないか」という心配は深刻です。
ここで注目したいのが「社会保険労務士(社労士)」という国家資格です。実は、社労士は年齢に関係なく挑戦できる資格であり、60歳以上の方でも活躍できる貴重な専門職なのです。
このページでは、なぜ社会保険労務士がセカンドキャリアに最適なのか、どのように資格を取得し活躍の場を広げていけるのかを詳しく解説します。人生の新たなステージを前向きに歩むためのヒントを見つけてください。
社会保険労務士とは?知っておきたい基本情報
社会保険労務士(社労士)は、労働・社会保険に関する法律のスペシャリストです。企業の労務管理や従業員の社会保険手続きなど、「人」に関わる様々な業務を担当します。
具体的には、以下のような業務を行います。
- 労働保険(労災保険・雇用保険)の手続き代行
- 社会保険(健康保険・厚生年金保険)の手続き代行
- 給与計算や労務管理のコンサルティング
- 就業規則の作成・見直し
- 労使間トラブルの相談対応
- 年金相談や年金請求手続きの支援
社労士は「企業と従業員の架け橋」として、双方が安心して働ける環境づくりをサポートする重要な役割を担っています。特に近年は、働き方改革や労働法改正などにより、企業の労務管理の複雑化が進み、社労士の需要はますます高まっています。
なぜ社会保険労務士がセカンドキャリアに最適なのか?
1. 年齢制限がない
社労士試験に年齢制限はありません。20代の若者から70代のシニアまで、幅広い年齢層の方が受験しています。実際に、60代、70代になって初めて社労士試験に合格し、新たなキャリアをスタートさせた方も数多くいます。
これは、多くの資格や職業が暗黙の年齢制限を設けている中で、非常に貴重な特徴と言えるでしょう。人生経験を積んだ方だからこそ、クライアントの悩みに共感し、適切なアドバイスができるというメリットもあります。
2. 過去の経験が活かせる
長年、人事や総務、経理などの業務に携わってきた方は、その経験が社労士としての活動に直結します。特に、人事労務の実務経験がある方は、試験勉強においても理解が早く、合格後の実務でも大きなアドバインテージとなります。
また、営業や接客業などの経験がある方も、クライアントとのコミュニケーション能力を活かして、社労士としての信頼関係構築に役立てることができます。
3. 働き方が柔軟
社労士として働く形態は多様です。
- 社労士事務所や企業に勤務
- 独立開業
- 副業として活動
- セミリタイア後の非常勤やパートタイム
特に、セカンドキャリアを考える60歳以上の方にとって、自分のペースで働けることは大きな魅力です。体力や家庭の事情に合わせて、週2〜3日の勤務や短時間勤務を選ぶことも可能です。
4. 需要の高さと安定性
少子高齢化が進む日本では、年金や社会保険の制度が複雑化し、専門家のニーズが高まっています。また、労働法改正や働き方改革により、企業の労務管理の負担が増加していることから、社労士の需要は今後も安定して見込まれます。
特に、「年金に詳しい社労士」は、高齢者からの相談が多く、60代以上の社労士が活躍しやすい分野です。自分自身が年金受給者であれば、より実践的なアドバイスができるというメリットもあります。
5. 独立開業のハードルが低い
社労士事務所の開業は、他の士業(弁護士、税理士など)と比較して初期投資が少なく済みます。基本的なパソコンと通信環境があれば、自宅の一室からでもスタートできるため、退職金を大きく使うことなく挑戦できます。
また、特定の業務に特化することで、効率的に事業を展開することも可能です。例えば、年金相談専門や就業規則作成専門など、自分の得意分野や興味のある分野に集中することで、無理なく事業を継続できます。
社労士試験の概要と合格戦略
社労士になるためには、国家試験に合格する必要があります。試験は毎年8月に実施され、合格率は例年7〜10%程度と決して高くありません。しかし、効率的な学習方法と適切な教材選びで、短期間での合格も十分可能です。
試験科目と出題内容
社労士試験は、以下の科目で構成されています。
【選択式試験(マークシート方式)】
- 労働基準法及び労働安全衛生法
- 労働者災害補償保険法
- 雇用保険法
- 労務管理その他の労働に関する一般常識
- 社会保険に関する一般常識
- 健康保険法
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
【択一式試験(マークシート方式)】
- 上記8科目と同じ
合格基準は、選択式試験と択一式試験の両方で一定以上の得点を獲得することです。
60代からの効率的な学習法
シニア世代が社労士試験に挑戦する際のポイントをご紹介します。
- 自分の強みを活かす
人事や総務経験者は労働法分野から、社会保険事務経験者は社会保険分野から学習を始めるなど、自分の経験を活かした学習計画を立てましょう。 - スキマ時間を活用する
通勤時間や家事の合間など、短い時間でも集中して学習できる教材(スマホアプリや音声教材など)を活用しましょう。 - 学習仲間を作る
同世代の受験生と情報交換することで、モチベーション維持につながります。最近はオンライン上の勉強会も増えているので、自宅にいながら参加できます。 - 過去問題を徹底的に解く
社労士試験は出題パターンが比較的安定しているため、過去問題の分析が合格への近道です。特に直近5年分は繰り返し解きましょう。 - 専門学校や通信講座を利用する
独学が難しいと感じる方は、シニア向けのクラスがある専門学校や、自分のペースで学べる通信講座の利用も検討しましょう。
合格者の声:62歳で社労士に合格した田中さんの場合
「定年退職を機に社労士の勉強を始めました。最初は若い受験生に混じって勉強することに不安がありましたが、逆に人生経験が理解の助けになることも多かったです。
特に、自分が実際に経験してきた労務管理や年金手続きについては、若い方よりも理解が早かったと思います。勉強方法としては、通勤電車の中での音声学習と、週末の集中学習を組み合わせました。
合格までに2年かかりましたが、諦めずに継続したことが成功の秘訣だと思います。今は社労士事務所で週3日勤務しながら、徐々に自分の顧客も増やしています。特に年金相談は同世代からの信頼が厚く、やりがいを感じています。」
社労士資格取得後のキャリアパス
社労士試験に合格した後は、様々な働き方が選択できます。60歳以上のシニア世代に特におすすめのキャリアパスをご紹介します。
1. 社労士事務所や企業への就職
社労士資格を持っていると、60歳以上でも採用されるチャンスが広がります。実際に、「経験豊富なシニア社労士」を求める求人も少なくありません。特に以下のような場所で活躍できます。
- 社労士事務所(所長の右腕として経験を活かす)
- 企業の人事部門(非常勤アドバイザーとして)
- 商工会議所や中小企業団体(相談員として)
- 年金事務所(年金相談員として)
多くの社労士事務所では、事務作業だけでなく、クライアントとの関係構築や相談業務も重視されます。長年の社会経験を持つシニア世代は、この点で大きな強みを発揮できます。
2. 独立開業という選択
自分のペースで働きたい方には、独立開業も魅力的な選択肢です。特に、前職での人脈を活かせる方は、比較的スムーズに顧客を獲得できるでしょう。
開業形態としては…
- 自宅の一室を事務所として活用
- シェアオフィスやレンタルオフィスの利用
- 他の士業(税理士、行政書士など)との共同事務所
初期投資を抑えるには、まずは最小限の設備からスタートし、徐々に規模を拡大していくことをおすすめします。
3. 専門特化型の社労士として
全ての業務を手がけるのではなく、特定の分野に特化することで差別化を図る方法もあります。
- 年金相談専門(年金受給者としての実体験を活かせる)
- 外国人労働者支援専門(語学力がある方向け)
- 医療機関特化型(医療業界での勤務経験がある方向け)
- 助成金申請支援専門(書類作成能力を活かせる)
特に年金分野は、同世代からの相談が多く、シニア社労士が強みを発揮しやすい領域です。
4. 複数の働き方を組み合わせる
一つの働き方にこだわらず、複数のスタイルを組み合わせることも可能です。
- 週2日は社労士事務所で勤務し、残りの日は個人で顧客対応
- 企業顧問として定期的に訪問しながら、セミナー講師としても活動
- オンライン相談と対面相談を組み合わせて地理的制約を超える
このように、自分の体力や生活スタイルに合わせて、無理のない働き方を選べることも社労士の大きな魅力です。
60歳以上の社労士が特に活躍できる分野
シニア社労士が特に強みを発揮できる分野をご紹介します。自分の経験や興味に合った分野を選ぶことで、より充実したセカンドキャリアを構築できるでしょう。
1. 年金相談業務
自身も年金制度を利用している立場から、実践的なアドバイスができるのがシニア社労士の強みです。年金は複雑な制度であり、理論だけでなく実際の体験に基づくアドバイスが求められる場面も多くあります。
特に以下のような相談が人気です。
- 繰上げ・繰下げ受給のメリット・デメリット分析
- 年金と再就職の収入調整アドバイス
- 障害年金の申請サポート
- 遺族年金の手続き支援
「同じ世代の社労士に相談したい」というニーズは根強く、60代以上の社労士が重宝されています。
2. 高齢者雇用に関するコンサルティング
70歳までの就業機会確保が努力義務化されるなど、企業の高齢者雇用対策は喫緊の課題となっています。この分野では、自身のキャリア経験を活かしたアドバイスができます。
- 高齢者向け就業規則の整備
- 定年延長・再雇用制度の構築
- 高齢者向け職場環境改善の提案
- シニア社員の能力開発プログラム立案
企業側と高齢労働者の双方の立場を理解できるシニア社労士は、この分野で大きな貢献ができるでしょう。
3. 中小企業の労務相談
中小企業では、労務管理の専門部署がないケースが多く、外部の専門家としての社労士の需要が高まっています。特に、経営者と近い年代のシニア社労士は、経営者の悩みに共感しやすいというメリットがあります。
- 人事制度の構築・見直し
- 労使トラブル対応
- メンタルヘルス対策
- ハラスメント防止研修
長年の職業人生で培った対人スキルを活かして、信頼関係を構築しながら支援できる点が強みです。
4. セミナー講師・執筆活動
自身の専門知識と社会経験を組み合わせた情報発信も、シニア社労士の重要な活動の一つです。
- 退職準備セミナーの講師
- 年金制度解説セミナーの開催
- 労務管理や年金に関する記事執筆
- SNSやブログでの情報発信
特に「同世代に向けた情報発信」は、共感を得やすく、信頼関係構築にもつながります。
社労士としての収入と開業コスト
社労士として活動する場合の収入見込みと、独立開業する際のコストについてご紹介します。
収入の目安
- 社労士事務所勤務の場合
- 週5日フルタイム:月25〜40万円程度
- 週3日パートタイム:月15〜25万円程度
- 経験や担当業務により変動します
- 企業内社労士の場合
- 非常勤アドバイザー:月10〜20万円程度
- 顧問契約:1社あたり月3〜10万円程度
- 独立開業の場合
- 開業1年目:月15〜30万円程度
- 安定期(3年目以降):月30〜50万円以上
- 顧客数や提供サービスにより大きく変動します
特に年金相談や書類作成代行などのスポット業務を組み合わせることで、無理なく収入を得ることが可能です。
開業コストの目安
最小限の設備からスタートする場合:
- 登録費用(入会金・会費):約10万円
- 事務所設備(パソコン・プリンター等):約20〜30万円
- 業務ソフト:約5〜15万円
- 名刺・パンフレット等:約3〜5万円
- ウェブサイト作成:約5〜20万円(自作の場合はほぼ無料)
合計:約50〜80万円程度
自宅の一室を活用すれば、オフィス賃料は不要です。また、クラウド型の業務ソフトを利用すれば、初期費用を抑えることも可能です。
社労士を目指す方へのアドバイス
最後に、これから社労士を目指す60歳以上の方へ、現役社労士からのアドバイスをお届けします。
1. 自分の強みを見つけよう
長年のキャリアで培った経験や人脈は、社労士としての大きな強みになります。例えば…
- 人事部門での経験 → 労務管理のノウハウ
- 総務・経理経験 → 事務処理能力や数字への強さ
- 営業経験 → クライアント獲得に役立つコミュニケーション力
- 業界特有の知識 → 特定業界に特化した社労士としての差別化
自分の経験を棚卸しし、社労士業務にどう活かせるかを考えてみましょう。
2. 無理のないペースで学習を
社労士試験の学習は、短期集中型よりも長期継続型の方が成功率が高いと言われています。特にシニア世代は、以下のポイントを意識しましょう。
- 1日30分でも毎日続けることを優先
- 理解を重視し、暗記に頼り過ぎない
- 音声教材など、目に負担のかからない学習方法も取り入れる
- 定期的に復習の時間を設ける
学習を継続するコツは「楽しむこと」です。学んだ知識を実生活と結びつけたり、同じ目標を持つ仲間と情報交換することで、モチベーションを維持しましょう。
3. 合格後のビジョンを持つ
「合格したらどうなりたいか」という具体的なビジョンを持つことで、学習のモチベーションが高まります。例えば…
- 地域の高齢者に年金相談を提供する事務所を開く
- 前職の知識を活かして特定業種に特化した社労士になる
- 週3日だけ働いて、残りの時間は趣味や家族との時間に充てる
こうしたビジョンがあれば、つらい学習期間も乗り越えやすくなるでしょう。
4. デジタルスキルを磨く
社労士業務では、パソコンスキルやオンラインツールの活用が不可欠です。
- エクセルやワードの基本操作
- クラウド型の社労士業務ソフト
- オンライン会議ツール(Zoom、Teams等)
- 電子申請システム
苦手意識があれば、社労士試験の勉強と並行して少しずつ練習しておくと良いでしょう。
5. 人とのつながりを大切に
社労士の仕事は「人」が中心です。試験勉強も大切ですが、以下のような活動も将来の糧になります。
- 社労士会のセミナーや交流会への参加
- 異業種交流会での人脈形成
- 地域のボランティア活動
- SNSでの情報発信や交流
特に開業を考えている方は、こうした活動から将来のクライアントにつながることも多いです。
まとめ:行動を起こすための最初の一歩
社会保険労務士は、60歳以上のセカンドキャリアとして多くのメリットがある魅力的な選択肢です。年齢制限がなく、これまでの経験を活かせる点が最大の強みと言えるでしょう。
もし、この記事を読んで「社労士に興味が湧いた」と感じたなら、以下の行動を今すぐ始めてみましょう。
- 情報収集から始める
社労士会のホームページや試験情報サイトをチェックしましょう。また、書店で社労士関連の入門書を手に取ってみるのもおすすめです。 - セミナーや説明会に参加する
社労士試験の説明会や、シニア向けセカンドキャリアセミナーに参加してみましょう。オンラインセミナーも増えているので、自宅から気軽に参加できます。 - 現役社労士に話を聞く
可能であれば、実際に活躍している社労士(特にシニア世代の方)に話を聞いてみましょう。リアルな経験談は何よりも参考になります。 - 無料の学習教材で試してみる
いきなり高額な通信講座を申し込む前に、無料の学習教材やアプリで自分に合うか試してみましょう。 - 試験勉強を始める
「やってみようかな」と思ったら、まずは基本書を1冊購入して、少しずつ勉強を始めてみましょう。
人生100年時代、60歳はまだまだ人生の折り返し地点に過ぎません。これまでの経験と新たな知識を組み合わせて、社会保険労務士として第二の人生を輝かせてみませんか?
あなたの一歩を踏み出す勇気が、新たな可能性を開くきっかけとなるでしょう。
【付録】社労士試験に関するQ&A
Q1: 60代から始めて合格できる可能性はありますか?
A: はい、十分に可能です。実際に60代、70代で合格される方も多くいます。特に、人事や総務などの経験がある方は、その知識を活かして効率的に学習できます。
Q2: 試験勉強にはどれくらいの期間が必要ですか?
A: 個人差がありますが、未経験者の場合は1〜2年程度、関連業務の経験者なら半年〜1年程度を目安にするとよいでしょう。1日1時間でも継続することが重要です。
Q3: 独学で合格できますか?
A: 可能ですが、通信講座や専門学校を利用する方が効率的に学習できる場合が多いです。特に初学者は、学習のペースメーカーとして講座を活用することをおすすめします。
Q4: パソコンが苦手ですが大丈夫でしょうか?
A: 基本的なパソコン操作(ワード、エクセル、メール、インターネット検索)ができれば十分です。苦手意識がある場合は、試験勉強と並行してパソコンスキルも少しずつ向上させていきましょう。
Q5: 開業せずに就職するのは難しいですか?
A: 60歳以上でも社労士資格があれば採用されるチャンスは十分にあります。特に「経験豊富なシニア社労士」を求める求人も見られます。週2〜3日のパートタイム勤務なら、さらに選択肢が広がります。